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「秒速5センチメートル」 映像の印象派、新海誠

5cm01
→公式サイト予告編配信ページへ

だから僕たちはごく自然に仲良くなり、そのせいでクラスメイトからからかわれることもあったけれど、でも、お互いがいれば、不思議に、そういうことはあまり恐くはなかった。僕たちはいずれ同じ中学に通い、この先もずっと一緒だと。どうしてだろう――そう、思っていた


秒速5センチメートル 通常版 秒速5センチメートル 通常版
水橋研二、近藤好美 他 (2007/07/19)
コミックス・ウェーブ・フィルム

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ようやくDVDが発売され手元に届きました。これを紹介できる日をどれだけ待ちわびたことか!言ってませんでしたが、僕は“新海信者”ですw 作品は一作目の「彼女と彼女の猫」から観ていて、DVD購入は「雲のむこう、約束の場所」に続いて2本目。普段DVDとか全然買わないんだけどね…これは別格。

新海誠のアニメは風景作画と表現力が抜群で、類似する作品と言われてもちょっと思いつかないくらい。しいて挙げるとすれば、先日のエントリで紹介した「ARIA」の初期(「AQUA」)が雰囲気は似てるかな、「風景」が主役という点では。本当に「印象派のモネルノワールの絵がアニメーションで動いている」といった感じで、はっきり言って宮崎アニメよりも僕は上だと思う。
ただ、反面淡白でストーリーが弱いのが難点だったんだけど、今回は話が抜群にいい!むしろ今回は主役がしっかりとキャラクター達だった。背景は脇役に徹して、堅実に仕事をしているという感じ。*以下新海誠本人の文章。

僕たちと同じ社会で生活している普通の男女の、時間と距離による関係の変化をただヽヽ描いている。そういう作品だということを、単に速度を表す『秒速5センチメートル』というこのタイトルに端的に込めている。ただ、作品に通底する想いは同じだ。シンプルで切実な物語をアニメーションで作りたい。それは僕自身が見たい作品でもあり、周囲の友人たちに見てほしい作品でもあり、会ったこともないない誰かに――叶うならば、届いてほしい作品でもある。 (新海誠 DVD付属小冊子から抜粋)


いままではSF的な設定が強くてそれを軸に話を組み立てていたんだけど、そのせいでキャラクター達各々の心情はあまりピックアップされなかった。「純情」「片思い」といった通底するテーマはあったんだけど。
今回は逆に「純情」「片思い」そのものを話の軸に据えている。これは新海の知人、酒井伸和のゲームブランドminoriが「はるのあしおと」という作品で行なった転換に似ていて面白い。「はるのあしおと」はその“自意識と真正面に向き合った姿勢”が高い評価を得ているけど、この「秒速5センチメートル」も同様で、映画館での評判は上々だった。ただ反面、あまりにも真に迫りすぎていて、一部の人には「マインドクラッシャー」になってしまったのだけど…。(僕の知る限りでもひとり、批評サイトの管理人が店をたたんでいる。南無…)
僕自身も映画を見終わったあと、なぜか渋谷の映画館から高田馬場までぶっ通しで歩いてしまったw(電車に乗る気が起きなくて...距離でダメージの大きさを察して下さいorz)

ストーリーは転勤族の親を持つ少年、遠野貴樹が、淡い恋の記憶に悩みながら成長してゆく人生の節目を3話構成のオムニバスで描いている。全編を通して切なさを漂わせる、美しい話。
主人公の貴樹は小学生時代、クラスメイトの篠原明里と大の仲良しになり、幼いながら恋人同士のような関係になる。しかし明里は、小学校卒業と同時に栃木に引っ越してしまう。それからも2人はしばらく手紙でのやりとり(携帯がまだないので)を繰り返していたが、今度は貴樹が種子島に引っ越すことになってしまい…。

新海本人の紹介にもあるように、話自体はいたってシンプル。特に捻ったところも無い。
じゃあどこがすごいのかと言えば、その内容がいつかの「僕らの青春」そのものなところ。はっきり言ってしまうと、貴樹は全編を通して、大人になるまで明里への想いを引きずりまくる“痛いヤツ”なんだけど、その純情さが僕らの心に激しく揺さぶりを掛けてくる。僕たちが心の奥に必死に隠してるピュアな想い(笑)を、貴樹が白日の下に曝け出してしまうのだ。
恐らく、初恋に悩んだ経験のあるほとんどの人が貴樹に共感し、同時に彼の行動にある意味恐怖するだろう。
「やめてくれ!それはオレが捨て去ってきた忌々しい過去だ。なぜお前がここにいる!?」とw

僕自身は、貴樹が引っ越す直前に、もうやむに止まれず栃木の明里のもとを訪ねるシーンがあるんだけど、そのシーンのシンクロ率が半端じゃなかった…。スクリーンの上の貴樹に完全に自分(と自分の初恋)を重ねていたし、胸を押さえながら心の中で「貴樹ガンバレー!」とエールを送っていた。(マジですw)
本当に、これを真正面からバカ正直に描く新海はなんて恥ずかしいヤツなんだ!と思うw

ただ、だからこそファンが新海の生い立ちを気にする気持ちはよく分かる。こんなに切ないストーリーは、経験したヤツじゃなきゃ描けないだろう、と思わずにはいられないからだ。
僕を含むいわゆる“信者”は、ファン交流会で新海と会う度に「これは新海さんの経験談ですか?」と彼に詰め寄ったそうだ。なぜならこれは、僕らの自意識そのものに直結した物語であり、だから嘘は決して許されない。(嘘だったら精神崩壊者や自殺者が出るでしょう) これがただの「メロドラマ」じゃないという保証と安心が欲しくて、僕らは“人間”新海誠の自意識にすがった。でなければ、とてもこんなもの見ていられなかったから――。そのぐらい、一部の人にとってこの話は心を裸にする話だったといえる。

ここに描かれているのは、単純に叶わなかった夢を叶えたり、別の人生を体験するための物語ではなく、僕らが大人になるために捨て去ってきた、極限まで美化された「自分自身の過去」だ。貴樹のどこか遠くを見つめる瞳は、僕らに問い掛ける。大人になるためと言い訳して、自分自身から逃げていないか。周りに流されていないか。大切なものを見失っていないか――。

「出す宛てのないメールを打つクセがついたのは、いつからだろう――」


貴樹はどうしようもなくバカで痛いヤツなんだけど、新海はそんな貴樹を真正面から、しかも“格好よく”描き切っている。いまの“恋愛”に反抗するかのように。
明里のことが忘れられない。他には何も目に入らない…。転校先で彼に好意を抱く女の子、澄田花苗のことも、貴樹は全く目に入らない。

遠野君は優しいけれど、とても優しいけれど…でも、遠野君はいつも、私のずっと向こう、…もっとずっと遠くの何かを見ている

私が遠野君に望むことは、きっと叶わない…。それでも、それでも私は、遠野君のことを…きっと明日も明後日もその先も、やっぱりどうしようもなく好きなんだと思う


それでも想い続ける。それが美しい。
いまの世の中では馬鹿にされることだけど、このアニメは「それは正しいんだ!」と、力の限りに叫んでいるような気がする。

この想いが成就すれば“成長”できるのだけど、この話は“現実”なのでそんなことは無い。成長できない置いてけぼりの“僕”は、それでも成長するべきなのか――。
(という気持ちを知ることが“成長”なのか)

僕自身は、もう現実世界では恋愛が出来ないから、人々は仮想空間にそれを求めるんだと思っていた。でも、この作品を観て少し考えが変わった。たとえ無様でも、もしまた「本当に好きな人」が出来たら、がんばって恋をしてみよう。それは決して悪いことではないはずだ。
…やっぱりこの第三話を噛み砕いて理解するのに、新海の自意識を知りたくなるのは必然だと思うw

――貴樹よ、どうか幸せに。
そして画面の外のたくさんの“貴樹”たちも。


追記。
これはおそらく男性にものすごく共感を呼ぶ物語なんだけど、女性にはどう映るのかな。「女々しい」と一蹴されて終わりだろうかw
もし明里が観たらどう思うだろうか。
泣くだろうか。笑うだろうか。
作中で手掛かりとして提示された「草の竪琴」を今度読んでみたい。

5cm02 草の竪琴
トルーマン カポーティ (1993/03)
新潮社

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何ものか、少なくとも「自分はこれで生きていく」という手ごたえを掴んだら、いつか新海誠に会って話がしてみたい。そうなれるようにがんばりたい。

*:ただ1点、「コスモナウト」の海の描写はちょっと稚拙だった。他と比べてだけど。


Theme:秒速5センチメートル
Genre:映画
Tag:新海誠,秒速5センチメートル
  1. 2007/07/22(日) 06:19:56|
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