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「絵師100人展」感想。萌え絵というゼロ年代総括。

 近年、日本発の漫画やアニメ、ゲームなどの文化が世界から大きな注目を浴びています。日本での評価もまた見直されるようになり、海外ではこうした文化を通じて日本を知る若者も増えています。
中でも高い技術で秀麗なイラストを描く画家(イラストレーター)は、江戸時代の浮世絵師になぞらえ、「絵師」と呼ばれています。

(「絵師100人展」ポスター解説文より)
   絵師100人展

関連Link:アキバで「絵師100人展」開幕 人気イラストレーターが「日本」テーマに

 「絵師100人展」に行ってきました。思ったより面白かったので感想を書きます。
 面白いというのは作品ではなく、この展示会の企画自体が歪んでいて考えることが多いからです。萌え絵を江戸時代の浮世絵になぞらえてクールジャパンとして売り出そうとしていて、絵の題材も「日本」で統一されています。

 「独特の世界」「高い技術に裏づけられたクオリティとポテンシャル」と謳っていますけど、まあ嘘ですね。おおよそ2、3日で描いたと思われるいつも通りの商業イラストです。基本的にフォトショかペインターで描かれていて、フィルタが多用されている。背景もなしかコピペが多く、もちろん上手い方もいますが全体としての画力は決して高くない。
 「日本」というコンセプトも、予想どおり「巫女」「和服」「黒髪」とかポストモダンな「美しい日本」そのものです。浮世絵というか、浮世絵に影響されたモネとかのジャパネスクに近い感覚。ブシドー、ニンジャとかと大差ありません。このテーマは安直すぎて絵師さんも嫌だったかもしれませんが、でも萌え絵を浮世絵になぞらえて海外に紹介するとしたらこうするしかない気もする。

 ――と、さんざんdisっててアレですが、もちろん僕もオタクなので萌え絵は好きなわけです。そういった点を差し引いてもやっぱり萌え絵には力があるし、「世界」は郊外的で薄っぺらいけど、独特の美学はある。

 萌え絵のコンテクストというのはもちろん、「まんが・アニメ的リアリズム」ですよね。漫画、アニメの絵がベースになっていて、それが90年代にCGの普及でマッシュアップされる。その中で90年代末~2000年代前半に美少女ゲームマーケットが花開き、キャッチーな可愛さに特化したカラーイラストが大量に出回るようになる。これが「エロゲ絵=萌え絵」であり、それを描く「原画家=絵師」ですよね。
 個人的にも思春期の頃はたいそうエロゲ絵に魅かれていたんですが、それはやっぱりCGの特徴に魅かれていたところがあって、キラキラした光やペンタッチの出ない滑らかなグラデーションにある種のリアリティを感じていたんだと思います。それが漫画の絵と組み合わさってるのが新しかった。Keyのゲームの背景みたいなCGを自分でも描きたかったです(今でも)。
 伊藤剛さんがTwitterで「一般人は上手い、きれい、本物みたい」が評価軸だと言っていますが、萌え絵もロウアートなので大衆の欲望に忠実なわけです。なので、ハイアートのような評価軸がないし、高値で取引きされるマーケットもない。そもそもCGなのでいくらでも複製可能だし。そういう意味では浮世絵と似てるし、ハリウッド映画のVFXとかにも近いのかもしれない。
 …ただ決定的に違うところが1つあって、それがやたらに顔と目のデカい、「美少女」と呼ばれる奇形化したキャラクターなわけです。

 今回の参加者でもある大槍葦人さんのTwitterでの発言で、個人的にすごく印象に残っているものが2つあります。

今の日本のオタク文化って結構凄いかもしんないです。200年たったらすごく評価されると思う。

http://twitter.com/#!/oyari/status/26337601359

神聖さや、恋愛や、狂気については、理屈ではないからこそその存在意義があって、もし理屈で説明できるようならそれは偽物なのです。 RT @tosit_ane: @oyari じゃぁアヘ顔ダブルピースについて理屈っぽく語ってくださいよ!語ってくださいよ!

http://twitter.com/#!/oyari/status/39714588341702656

 1つ目の発言はたぶん「絵師100人展」の仕事を受けてのものだと思うんですが、これには僕もすごく同意したい。でもそうなると2つ目の発言がすごい気になってきて、なぜなら「歴史」っていうのはただのほほんとしていれば評価されるものじゃなくて、その作品の良さについてある程度論理的に歴史コンテクストの中で位置づけられて、はじめて評価を得るものだと思うんですよ。良い作品でも埋もれてるものなんて腐るほどあるわけで…。その意味で、批評を拒否しているような上の発言は僕は嫌悪感を持ちました。

 ただ、クリエイターって2タイプいるような気もしていて、大槍さんみたいに感覚とか身体性を重視する人(ドグマティズム)と、ロジカルに作る人と別れる気がするんだよなぁ。建築でいうとわかりやすくて前者がSANAA、後者が藤村龍至なんですが。
 大槍さんの作品は今回もすごく良かったし、自分の創作の論理としてドグマティズムが肌に合うというのはよく分かるんですが、「萌え絵」というコンテクストが歴史的に説明できなければロマン主義な西洋絵画の劣化コピーでしかないわけで…そこが苦しいと僕は思います。

 萌え絵のとりあえずの起源として、1つ「みつみ美里」というのが置けるかなぁと思っていて、彼女は2000年前後の同人誌即売会の女王で、かつ彼女の在籍していたエロゲメーカーのF&Cの絵柄が現在の萌え絵のベースになっているわけです。特に今回「絵師100人展」でキュレーションされた絵師の多くはそうした「エロゲ絵」で、2000年前後からエロゲやラノベの挿絵で活動し、アナログで線画を描いてスキャンしてPhotoShopで色を塗るというスタイルの作家が多かった。今回みつみさんは参加してなかったんですが、そういう意味でもこのメンバーならポスターの名簿の中心に配置されるのは、みつみ美里という秘匿された起源だったんじゃないかという気がした。
 そして萌え絵もpixiv世代になると道具の変化に合わせて若干変化してきていて、基本的にpixivの作家はペン入れの段階からデジタルの人が多いです。またフカヒレさんやKEIさんのように、Painterで油彩っぽく線画に頼らない描き方をする人も増えてきたし、あとぷちでびるさんとか、pixivのランカーはそもそも基礎画力がけっこう高くて、きちんと美術教育を受けているんじゃないかという印象がある。

 さてそんな中で、萌え絵とかこのあとどうすんのかなぁというのが僕の素直な感想ですね。エロゲもラノベもブームは過ぎたし、作家は多すぎだしデフレだし、岸田メル先生もイラストレーターじゃ食えないって言ってるし…。キャラクター消費は郊外化に付随しておそらく世界的な潮流だと思いますが、でも台湾とか、日本人以外にも萌え絵描ける人っていっぱいいるんですよね(むしろ最近はむこうのが上手い)。
 そういう意味でも一旦総括するうえで、ちょうどいいタイミングだったのかなという気がしました。10年後どうなってるかわかんないし。…というかぜんぜん他人事じゃなくて、たぶん漫画、ゲームとかはメディア環境の変化でこの先どうなるか本当に予測がつかないです。このすごく狭い世界に過剰適応しているのが「萌え絵」という文化なんですが、この先流れが味方してくれるといいなぁ…と祈るような気持ちにならざるを得ませんw

 あと最後に個別の作品についてですが、西又御大の絵は塗りの手間数がエロゲ絵のレベルを超えてる気がしました。さすがに最近一般パッケージ(米)とかやってるだけありますね。
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/110425/ent11042516080033-n1.htm

 自分がいちばん好きだった絵は、小梅けいとさんの作品です。秋葉原でメイドさんが客引きしてるっていうフツーの絵なんですが、なんか素直だし元気が出るし、いちばん衒いがない日本って気がした。いや小梅さんのことだから実は背後にものすごいエロ妄想が…とか言われるとアレなんですがw でも素直に良かったです。


関連記事:歴史と捏造

関連記事:京アニ版『CLANNAD』がエロいわけ ―Key作品受容の変遷―
  1. 2011/05/09(月) 02:55:00|
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