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メタ・ライトノベル 『AURA~魔竜院光牙最後の闘い~』

「……強い人間になるつもりだったんだな、きっと。今はいろいろトラウマで正視できないけど、強くなったらそういうのも平気になるはずだ。昔は馬鹿なことしてたなって、すっきりした顔で笑い飛ばせるはずなんだよ。そしたらさ、続きを一気買いして読んでやろうって。いい大人になってるかな、その時の俺。へっちゃらな顔して、ライトノベル読んでやりてぇ」


AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)
(2008/07/19)
田中 ロミオ

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実はこれが初ロミオ&初ガガガ文庫。
例によってネタバレ全開なので未見の方はご注意を。



いわゆるラノベ版「脱オタ」で、ノリは『野ブタ。をプロデュース』なんかにかなり近い感じ。『ロードス島戦記』『ブギーポップ』『灼眼のシャナ』など、過去の有名ラノベ作品が元ネタとして名指しで登場する反面、それらに没入するオタクたちは作中でイタイ“妄想戦士”として冷笑され、クラス内政治(スクールカースト)の底辺に甘んじている。この物語自体も「学園」系作品の1つとして捉えることは可能だろうけど、その意味で明らかに中ニ病的ロマンチシズムとは距離をとって一線を引いている。現在進行形でそれらにハマっている人には、ちょっとキツイ薬かも(奈須、西尾作品が出てこないのが悔やまれる!)。

脱オタしてリア充デビューしたい人にとっては、なかなか良い処方箋かも知れない。『脱オタクファッションガイド』的な要素も入っているし、自己啓発書の要素も持っている。この物語の根底に流れるのは「心を開いて他人と向き合わなければ、分かり合うことはできない」というメッセージであり、それは概ね僕も賛成する。対象とする中学・高校生向けの読みとしてはこれでよい。

ただし、これが学校が過去のものになった人間にとっては、もうひとつ別のレベルでの感慨を生むのではないかと思う。
主人公の一郎は高校デビューを期に、いわゆるKY力(作中で言うところの<エア・リーダー>)を身に付けてクラス内政治のパワーゲームに身を投じてゆくことになるのだけど、そのことによって逆に彼の目指す「普通の高校生」というものが如何に政治的で、薄っぺらく、魂をすり減らすものかということが内露されてしまう。パワーゲームの中でイジメが起こり、KYなヤツはハブられ、「普通であろう」とする人たちはその場の空気を読んでネグレクトに加担し、時にはDQNの手先となって率先してイジメを実行する。“普通”って何だろう?これが一郎や『野ブタ。』の修司が感じている空しさであり、現実の多くの中高生たちの目を曇らせている原因だ。
結果的にこの話ではヒロインであるコスプレ魔法少女の良子(『野ブタ。』の掘北真希のポジション)と心を開いて向き合い、一般人に更正させたこと、またそういう一連の一郎の体を張った行動によってクラスの陰鬱な雰囲気が一掃されるのだが、実はフタを開けてみたらみんなオタクだった!という設定はすごく今っぽくて笑える(さすが全員キ○ガイのエロゲを作った男w)。憑き物が落ちたこの明るさは“大学デビュー”を先取りしているのかも知れない。だって考えたら何の価値観にも縛られていないってのも、それはそれでおかしい話だし。

しかし問題なのは、学校の外の現実社会においては、必ずしも物語のような善淘汰が保障されないことだと思う。作中で一郎もたびたび「大人ってすげー」と驚いているが、実際の大人の世界というのは善悪ではなく、もっと大きなダイナミズムの中にある。そしてその力を行使できる立場の人間が、必ずしも“どりせん”のような善人である保証はない。…と言うか、そもそも何が「善」なのか自体があいまいだ。自分が「普通であろう」とすることで知らずに誰かを疎外してしまっているかも知れないし最悪、一郎(善)のつもりが大島(悪)になってしまっていることは十分ありうる(『コードギアス』的対立)。あるいはこれは「ヤンキー対オタク」という価値観の対立構図に落とし込めるのかも知れない。読んでないけど最近の速水健朗の著作と対比すると、この物語は案外広い視野を持つんじゃないだろうか。

しかししかし!
それより最大の問題なのは、何より現実に良子みたいなラノベ美少女は死んでも現れないってことだろう。結局僕らは自分で努力して成長するしかない。
現実はつらいなぁ…。


ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たちケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち
(2008/06/09)
速水健朗

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  1. 2008/08/04(月) 01:16:51|
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