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決断主義の“その先”を伺う『GUNSLINGER GIRL』

doll
doll」Lia 多田葵

先週のガンスリは面白かった。このころ原作でヘンリエッタが出てくる話って覚えてないんだけど、オリジナルエピソードかな?とても良かった。

昨日の話のつづきになるけど、決断主義といえばガンスリだと思う。
根はロリコン+人形+戦闘美少女という相当歪んだ趣旨で、「従順に教育した女の子を囲って戦闘行為をさせ、それに浸る」という変態ノスタルジー漫画。宇野常寛言うところの「援助交際肯定文学(笑)」以外の何物でもないし、観てる僕も変態。それはまったく否定できないw

イタリアの公益法人「社会福祉公社」は、政府の汚い仕事を代わりに行っている。その中でも作戦2課では現在表向きは障害を抱えた子供達を引き取って福祉事業に従事させることで社会参加の機会を与える、という身障者支援事業を推進する組織ということになっているが、実際は集めた子供達を「義体」と呼ばれる強力な身体能力を持つ肉体に改造し、薬物による洗脳を施した上で、政府の非合法活動に従事させている。
「GUNSLINGER GIRL」Wikipedia

もともと閉じた楽園志向の話だったし、更科修一郎の言うようにそれは当時の美少女ゲームと同じ空気を共有していたと思う。ただ、それが臨界点を迎えたとき、この話は“転向”した。浮世離れした楽園を愛でる話から、自分の愛しいものを守る話へ――。

左手に凶器を 550 miles to the Future

ラノベやアニメやゲームの美少女に愛されることがウソならば、いっそ殺してくれってことじゃないのか。ハッピーエンドの用意された学園ドラマには、もはやリアリティがない。「そんなことで誤魔化されやしないぞ」ってことだ。

今にして思えば決断主義以外の何物でもなかったのだけど、ガンスリは早かった。おそらく「楽園が不可能なら、いっそ美少女に殺してほしい」という潜在的な願望を共有してはいても、新伝綺のようにバカになれなかったからだろう…。そのへん相田裕は、奈須きのこや西尾維新よりもっとヒネクレているし、変態だったw

かくして、この物語は耽美な少女幻想から骨太の人間ドラマに様相を一変する。その分岐点がこの「ピノッキオ編」だ。少女と担当官以外白い“もや”の掛かったような世界観が晴れ、敵も血肉のある人間であり、それぞれの守るべきもののために戦っていることが白日の下に晒される。何のことはない、そこにあったのは現実そのものだった。

歪んだ妄想から現実に舵を切ったとき、それは『ガンスリ』が陳腐な社会に回収されていくようにも見えて、論議を呼んだ。もともと「無垢な少女」を愛でる男に自己の欲望を投影する読者という相当ヒネクレた構造を持っていたのに、また今度は「楽園を守りたい社会福祉公社 VS 別の楽園を目指す五共和国派」という対立に「少女が好きなロリコン VS ロリコンが嫌いな社会」という実社会の対立が仮託されてしまった。おまけにロリコンにとってその戦いの過程は、自分自身変革していかなくてはならない苦痛に満ちたものとして描かれていたのだから(ペトルーシュカの登場)、読者が戸惑うのも当然だろう。結局そこには現実と同じようにすべてが疑わしく、偽善と欺瞞に満ちた空気が蔓延し、退屈に戻ってしまうようにも感じられた。

「決断によって政治に回帰した物語は陳腐である」なぜならそれは既に物語ではないから。遠回りになってしまったが、それを含めて6話を観ると、とても示唆的で面白い。『IL TEATRINO』の脚本も相田裕が書いているのだけど、彼はこのアイロニーをよく理解している。

「私は、確信が持てなくなったのよ。夫の遺志を継いで橋を完成させようと思ったけど、それが大勢の血を流してまでするべきことなのかどうか…」

「俺はもう活動家として限界だ。兄貴が死んでから、ずっと疑問が頭から離れない。『俺達のすることは人を殺してまでする価値があるのか』ってな」

友⇔敵間で繰り返されるこの葛藤が、決断の空しさを浮き彫りにすると同時に、あたかも友=敵であるかのような錯覚を生む効果を狙っている。
したがって、アニメ内で決着はつかないだろうが『GUNSLINGER GIRL』の結末にはかならず1つ大きな山があるはずだというのが、ネット内でまことしやかに囁かれている噂だ。どう考えてもガンスリはこのままではまともに終われない。

思うに「決断主義のその先」というのは、まだ描かれたことがない。夜神月はニアに負けて死んだし、『コードギアス』も完結してないけど、おそらくルルーシュは幸せにはなれない。昔の小説とかには何かいい例があるのかも知れないけど…僕は知らないし、文脈として認知されてない。ベタに考えるなら「そういうもの(資本主義社会)に縛られずに軽やかに生きる」か「ホリエモンではなく孫正義的に、ベタに権力化する」かの2択なんだろうけど…あるいはそのアナザーがあるのか。

『GUNSLINGER GIRL』はそういう意味で“時代と寝た”のではなく、翻弄されながらも“時代を切り拓いている”作品だと思う。おそらく、最初はほんとうに無垢なロリコン漫画(笑)でしかなかったんだろうけど。

余談。
昨日宇野さんのことを書いてから「32回惑星開発大賞」を読み返してみた。思うにアイツはオタクじゃなくサブカル演劇畑の人間だ。文句しか出ないのなら、オタクのことを喋るのはやめてほしい、神が違うんだから。そんなこと言ったら、マスに契合した大人計画なんか僕に言わせればカスだとなってしまう。
…ただ、「実写版『ガンスリ』を撮るならヘンリエッタは宮崎あおいで」というのは僕も全力で賛成。
も ち ろ ん ネ タ で (笑)


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