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流動化社会を生き抜け 『不安型ナショナリズムの時代』

「みんなが豊かになれる安定社会」として成立してきた日本のナショナリズムは、世代という区分線で都合よく「国民」を寸断し、下の世代を「国民」の中に換算しないばかりか、彼らに自分たちの「安定」の維持コストを負担させる形で「放り出す」ことでしか成立しない、まことに身勝手なものであった。その「国民」の内部では、無能な大量の人材をだぶつかせる役割を果たしてきた。これが果たしてナショナリズムと呼べるのだろうか。私は「サヨク」と違い、「日本のナショナリズム」はいけない、という風には考えない。むしろ、「日本のナショナリズムはナショナリズムではなかった」と思っている。


不安型ナショナリズムの時代―日韓中のネット世代が憎みあう本当の理由 (新書y)不安型ナショナリズムの時代―日韓中のネット世代が憎みあう本当の理由 (新書y)
(2006/04)
高原 基彰

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いや、いい本拾った。

まずナショナリズムには2つある。
1つは高度成長期の豊かさと安定を根拠とする「高度成長型ナショナリズム」(=“美しい国日本”的なもの)。
もう1つは若年層の雇用不安を根拠とする「個別不安型ナショナリズム」(=ネトウヨ的なもの)。

これら2つが区別されずに混同されていることが、まず1つ問題だとする。

高度成長型ナショナリズムはオイルショック以後、社会の安定=会社の安定=個人の安定という図式が崩れたので実質的に終わっている(「会社主義」の崩壊)。しかし個別不安型ナショナリズムの陰に隠れる形で、現在まで延命している。
個別不安型ナショナリズムは、「社会流動化」(自由競争、実力社会)が進む先進国では避けられない「個人の不安感」を、日本ではたまたま上手くいっていた日本型経営によって回避できるという楽天的な見方があったが、若者のニート問題などで「会社主義」の崩壊が決定的となったため、にわかに表面化した。
この両者のポイントなのが「会社主義」の崩壊=年功序列、終身雇用の崩壊である。年功序列制度は、人口比の多い団塊世代の給料が上がっていく=企業の人件費が膨らんでいくという点で、ハナから無理のある制度だった。しかし高原によれば、当時の識者たちはこの矛盾を「意図的に」無視した。そして最近になってリストラ→若者の就職難→フリーター、ニート問題と続き、日本型経営=「会社主義」は一気に崩壊する。

もう1つ問題なのは、こうして会社主義が既に崩壊しているにも関わらず、一時期あまりにも成功してしまったため、いまだ代替となるセーフティネットが不十分な現状を、再び会社主義を復権させて回復しようとする意見が根強いことだ(若者も正社員志向を強めている)。前に述べたように、根本的に会社主義というのは無理のある制度にも関わらず、である。
それは回り回って、雇用不安のもう1つの原因であり会社主義の復権を阻む「グローバル競争」、そしてその相手である中国や韓国への反感となって表れる。
それこそが日本における「個別不安型ナショナリズム」の正体である。
中国にしても韓国にしても事情は似たようなもので、社会構造のねじれに伴う不満感が、若者の個別不安と結びついて「反日」として表れる。しかしそれは多分に内省的な意味を含み、日本同様、中韓内部も決して一枚岩ではない(金大中事件とかね)。したがってこうした反日批判を真に受けて感情を悪化させるのは、全く建設的でない。向こうにいるのも鏡に写った自分自身なのである。

むしろ、文化的にも共通点の多い中韓の若者と日本の若者はよく話し合い、互いに流動化社会をサバイバルする“仲間”となることで、閉塞的な現状を打破し、避けられないグローバル化の中で新たな生き方を示せるのではないか。
――というのがこの本の大筋である。


最後の東亜細亜共同体的な部分は僕がやや脚色したが、高原が言うように日中韓の特に若者のネットを中心としたライフスタイルが類似しているのは、まったくその通りだと思う。そういう意味でこの三国は、今共通に社会流動化に直面しているんだろう(しかも高原によれば、一番状況が進んでいるのは中国らしい)。
また、少しだがこの本は、戦後の歴史上ポイントになった主張や人物を省み、俯瞰的に再解釈することも行っている。宮台や東をメタ的に語ってくれたのはなかなか面白かった。
個人的にオススメ。
  1. 2007/10/26(金) 15:07:02|
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