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セカイ系と作画厨

セカイ系というとナラティブ(物語的)な分析が多いのですが、ひとつ別の視点から感想を書いてみようと思います。「作画厨」の視点です。

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自分語りですが、僕は再三ブログで書いているように新海誠作品がすごく好きで、それは『秒速5センチメートル』のようなナヨナヨした話が好きなこともあるけど、何より圧倒的に美しい作画が好きなのです。
関連記事:「秒速5センチメートル」 映像の印象派、新海誠

ほかにも僕は『最終兵器彼女(サイカノ)』『イリヤの空、UFOの夏』といった狭義セカイ系から東浩紀に言及された美少女ゲームまでリアルタイムで観てきたましたが、その中で特にKeyの『Kanon』が好きなのも、新海作品と同じように背景CGが綺麗だったからです(当時のエロゲーでは圧倒的でした)。

素朴に綺麗な風景(キャラではない)に惹かれるのはよく分からないのですが、端的に言えば「リアリティ」ということだと思います。

リアル

「リアル系」を求める読者は、単に物語を求めるのではなく、それが本当にあったかどうかを重要視するのだ。

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速水さんの『ケータイ小説的。』で「ほんとうにあったこと」としてケータイ小説を消費する少女たちが言及されていましたが、僕も昔は思春期だったので「その作品が現実社会に活かせる」「幸せに生きるためのロールモデルになる」といった「ほんとうの意味」みたいなものを求めていました。まぁ意味論的には、のちに宇野さんに喝破されてしまうように中身はスカスカで、ケータイ小説と大差ないものだったわけですが…。にも関わらずベタに消費されていたのは、やっぱり作画の力が大きかったと思う。情緒(ストーリー、キャラ)よりも、いや作画や操作ログなどがリアルであるからこそ、情緒が信用に足る気がしたのです。

またセカイ系に限らず、オタク受けするアニメというのは一貫して超絶作画という気もするんですよね。宮崎アニメもそうだし、板野サーカスの「納豆ミサイル」もリアルではないけど、現実以上の運動性のリアリティみたいなのを描いている。エヴァが人間のメタファーで血のようにLCLが噴き出すのもそうですよね。
突拍子も無い物語にリアリティを与える戦いとして「作画厨」はあると思うんです。
もちろん全部気のせいですが。


トレース

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ところで友達に言われて気がついたのですが、新海作品はシーンによって写真をそのまま使っているところがあって(『空の記憶』P9など)、塗りつぶしているとは本人も言及していますがけっこう露骨です。また、「アニメ畑のひとより美術畑のひとのほうが即戦力になる」という趣旨の発言からも、何となく制作体制が想像できる気がする。

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いわゆる「聖地巡礼」的なことが騒がれだしたのは新海作品や京アニの影響だと思いますが、しかし、振り返ってみればセカイ系の始祖である『サイカノ』からすでにトレースを導入していたわけで(高橋しんは早くからデジタル化に取り組んだ作家でした)、セカイ系の歴史というのは常にトレースとともにあるわけです。

トレース自体はアナクロな手段なのでずーっと前からありますが、デジタルの導入によって写真をそのまま取り込んで使うことも増えて、意味合いが変わってきた。
思うに、セカイ系以前のトレースでは具体的な物のフォルムやディテールのために(当たり前ですが)使われていたのが、セカイ系以後では「雰囲気の表現(再現)」という風に微妙に趣旨が変わっている気がする。

たとえば新海アニメでは新宿のビル群などアイコン性の高い風景も登場しますが、同時に草原とか桜並木とか夕景とか、匿名的な風景も頻出して、その空気感を表現するのにトレースが役立っていると思います。また『サイカノ』の漫画は荒れたタッチであまり上手いとは呼べない絵柄ですが、しかし印象派的で「空気感」を表現するのにかなり注力されている。空気感へのこだわりはKeyのゲームでも、それをアニメにした京アニでも同様です。
要するに、デジタル化の浸透で表現の幅が広がった際に、アニメ、PCゲーム、漫画という多様なメディアで同時に起こった表現運動的にセカイ系を捉えられないかと思ったのです。


リアリティの変質

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川内 倫子

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他分野でもセカイ系的なものは多くあって、たとえば写真では川内倫子や長島有里枝のガーリーフォトや、カラーネガを用いたタイプの作品がそれにあたる。写真にフィルターをかけて現実を更に美化するのは新海誠と同様です。またPhotoShopの登場で、その操作が簡単に普及したのも大きい。

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映画では、岩井俊二の映像に同様の美化作用が見られる。岩井作品は物語的にもセカイ系の元ネタ的要素が強いです。
関連記事:『花とアリス』 ってか、これ何てエロゲ?

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建築ではSANAAが川内倫子的な表現で余白、植物、グレーを効果的に用いたプレゼンを行いました。SANAAはポストモダンの揺り戻しのミニマリズムと、ガラスを多用した軽い建築の表現者として多くのフォロワーを生みましたが、それはサブカル側から再評価すれば明らかにセカイ系の文脈です。

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(2006/04/08)
本城 直季

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また建築⇔写真の流れから後に本城直季も出ました。模型的、またセカイ系でよく言及される「鳥の目の俯瞰」で世界を捉えます。


引きこもり

ただ、ある時点からセカイ系は引きこもり傾向を強めていったと感じます。物語的にもセカイ系の閉鎖性と社会性のなさは批判されますが、それが作画にも表れていると思う。

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それが最も象徴的に表れているのは、直接のセカイ系ではありませんが、僕はマンションのカタログだと思う。見てもらえばわかるのですが、マンションのイメージパースにはものすごく手間が掛かっていて、新海アニメ以上にキラキラして理想のマンションライフを表現している。しかしそれはセカイ系的な現実美化に加担して、妄想に引きこもっているとも言えるのではないか。そもそも、マンション自体が雑多な現実から目を背けて引きこもるためのハコであり、そういうものです。セカイ系的な想像力に淫しているのは大人も同じでしょう。サイトが見つかりませんが、前に吉村靖孝が幕張ベイタウンのスティーヴン・ホールがデザインしたパティオスについて「壁が黄色いのは郊外的な共同幻想に奉仕している」と言って批判していて、正直どうかと思ったのですが、言いたいことは分かります。「きれいはきたない」という言葉が思い当たる。

主にSANAAフォロワーを指して「カワイイ建築パラダイム」という言葉もありますが、これもまたカワイイを盾にして論理を拒否する女子的な思考停止ともとれる。

サブカルチャーではセカイ系の直系で「空気系」が現れました。これは批判の的だった物語性を除いて時間を停止させたものですが、私見ではほとんど観光ツアーになっている。風光明媚な観光地めぐりや部活でもやらなければ間がもたないのだと思います。トレースが悪い意味で貢献している。

これらに共通して僕が言いたいのは、作画厨的なモチベーションが行くところまで行き着いて「美化原理主義」になっているんじゃないかということです。セカイ系ではありませんが、東方同人などに代表されるpixivの周辺などはかなりすごいことになっていますが、どうにも閉鎖的です。


未来

最近流行ったアニメで『とある科学の超電磁砲(レールガン)』というラノベ原作のアニメがあるんですが、正直中二病そのものの話で設定とかひどい。僕にはサンドバックするしかない作品なんですが、でも絵がけっこう綺麗で流行ってた。何でかなぁと思ったんですけど、あれって未来の話なんですよね。都市考証とか噴飯もので泣けてくるけど、でも(ウソだけど)希望の話をしてる気がする。冒頭でも書いたけど、やっぱり思春期は「ほんとうのこと」だったり「希望」だったり「未来」だったりを切実に求めてるんだろうなーって思いました。

そんなもんどこにもないのかも知れないけど、インテリもニヒリズムに陥ってないで若い人にビジョンを示すべきなんだろうなと思いました。
あれよりはマシだ。


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